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夢の実現に向けてさらなる一歩を (Section 11)

NY到着

初めてのニューヨーク。
世界一の都市に行くんだと思うと到着する前からわくわくどきどき。
「ラヒムは迎えに来てくれているかな・・・・」
空港について見ると
「あれ見当たらないよ。来てないよ。どうしよう」
キョロキョロ見渡していると、僕の名前が書かれたプラカードを持った人が。
ラヒムはどうも仕事の都合で来ることができないようです。
ではお迎えの革張りの黒い車に乗って、いざマンハッタンに。
ちょっとリッチな気分。隠れて革をすりすりしたり。
高速道路をひとっ飛び。だんだんマンハッタンが近づいてきました。

想像では超近代的な建物がバンバン建っているのかと思っていましたが、結構古く歴史を感じさせる建物がたくさん建っているんですね。高速道路も錆びていて、それはまたそれで味があって格好いい。
ちょっと渋滞してるけど、黄色いタクシーが走っていたり、地下鉄の蒸気が道路から上がっていたり、まるで映画の中にいるよう。
「あー、ニューヨークに来たんだなぁー」
じわじわと実感が沸いてきました。
 
その夜はラヒムと一緒にニューヨーク近代美術館に併設されたレストランで食事をしました。実はホテルにチェックインした際、ラヒムからのメッセージがあり「ディナーはジャケット着用で」とのこと。言われたままジャケットを着ていくと、それを見たライムは大喜び。
「おお、ヤスヒロもジャケットを着るんだ。はじめて見たよ」
「着て来いって行ったのは、自分じゃない」
久々の再会に会話は盛り上がり、いつしか話はiwi(今作っている医院)のコンセプトの話に。最近、グラフィックデザイナーと盛り上がった話をしました。
iwiを研ぎ澄まされた空間にしたい。今までにはない新しいコンセプトを持った空間。現代アートと組み合わせて、アートの香りがするシンプルでクールなものに。
例えば、
音楽でいえば、ブライアン・イーノとか
洋服でいえば、ジル・サンダーとか
レストランだと、エルブジとか
そんな空間造りを考えている。   彼はきっと賛同してくれると・・・・
しかし、しばらく考えていた彼は
「うーん。やりすぎは良くないよ。iwiはあくまで静寂で落着いてリラックスできる空間でなければいけないよ。
矯正治療はオーダーメイドだよね。そこには、精密で緻密で唯一無二の、その方だけの特別なものがなければいけない。そんな雰囲気を醸し出すことが重要だよ」
「ラヒムは具体的にはどんなイメージを持っているの?僕はそのイメージを理解しないといけないと思うんだ」
「そんな風に僕の建築やイメージを大切にしてくれるなんて、ヤスヒロは僕のクライアントの中でも、本当に最高のクライアントだね。いいよ。明日は午後から仕事が入っているから、明後日、観光と一緒にいろいろ連れて行ってあげるよ。ちょっとどこに行くか考えておくね」
「うわぁー、楽しみだな」

 



IWIのイメージ

次の日の午前中、ホテルの近くのロックフェラーセンターとかニューヨーク近代美術館に連れて行ってくれました。その中で、彼は自分の価値観を話してくれたり、最も素晴らしいと思っている絵画を紹介してくれたりしました。
昼食後、彼は仕事に出かけていきました。忙しい仕事の合間を見つけながらいろいろな場所に連れて行ってくれるのです。
午後からは、彼お勧めのグッゲンハイムミュージアムに行きました。
近代建築の三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトが設計したミュージアムです。美しいらせん状をした建物です。建築基準からはみ出した設計であったため、ニューヨーク市当局が許可を出すまで時間を要したなど、完成までに16年もかかっています。残念ながら中には入れなかったのですが、外からのその美しさは圧巻でした。バルセロナで見たガウディー以来の感動を受けました。
 
「今から50年も前の建物なのにこのようなものを作り出すとは。凄い。天才だぁー」
中もすごいんでしょうね。いや、本当に見たかったなぁ。
でも併設されたお店には入ることができました。上を見上げると螺旋状の床が続いていました。奥のほうをのぞくと建築の書籍コーナーがあり、正面を向いた本になにやら見覚えのある写真が。
「こ、これって。ラヒムが今作っているドバイのビルじゃない」
 
本のタイトルはDigital Architecture Now(現代のデジタル建築)
その本の表紙をラヒムの作品が飾っているのです。
「ラヒムってやっぱりすごい人じゃないの?本当にいいのかなぁ?俺たちのために観光案内みたいなことさせて」
彼は本当に気さくで面倒見のいい人なのです。
 
次の日、ラヒムがイメージしているところへ連れて行ってくれる日です。
まず、最初に連れて行ってくれたのはセントラルパークでした。100年以上前に有名な建築家が作ったものだそうです。すごく計算されていて、道路が立体的に交差するように造られています。その大きさは皇居の3倍もあるかなり大きな公園です。
マンハッタンは摩天楼と言われるようにどこをとってもビルビルビル。空間がほとんどありません。だからこのセントラルパークの空間は貴重で、面しているマンションはものすごく高価だそうです。

 



クラフトマンシップ

次は、ベルルーティー。マジソンアベニューにある靴屋です。
ラヒムが店長に僕を紹介しました。
「彼は日本で有名な矯正歯科医で、今回医院を作るにあたってコンセプトを考えている。ここの靴はオートクチュールで、矯正治療と共通点があるので、コンセプトを教えてあげて欲しい」
 
ベルルーティーは1895年パリで始まったオートクチュール専門の高級靴店。
決して華美ではなく、シンプルで美しい。
無駄がないデザイン。きれいな曲線。
形は至ってクラッシック。
だけど、その色彩がすごい。ものすごく深い色、その美しさに虜にされてしまう。艶美というか色っぽい。艶やか。何層にも重なった深い色合い。
お客様の好みで色を変える。部分的に変えることも可能。後日色を変えて欲しいといわれたら変えることができる。
タトゥーの入った靴もある。
お客さまで足にタトゥーが入っていて、そのラインにあわせて靴にタトゥーを入れて欲しいと言われた。足から靴までが連続したラインでコーディネートされた。顧客の要望に合った靴を作り出す。これがこの店の自慢。
形は至ってシンプルでクラッシックなものが多いけど決して古臭くない。斬新な色合いやデザインが施されていて心地よい。華美になり過ぎない。クラッシックで確立された美しさの中に斬新を盛り込む。やり過ぎない。前衛的になり過ぎない。やっぱり確立されたものは、伝統を持ったものは、深い美を持っている。歴史の重みと言うか、長い年月をかけて認められてきた美しさ。重厚さ。そこには斬新だけでは入りこめない美がある。でもそれだけではだめで、その美をベースにしてその中に新しい試みが組み込まれている。そのためその美は更なる濃厚な厚みを持って輝きを増す。ラヒムはきっとこういうことが言いたかったのかな。
そのデザインはシンプルなラインだけど、ものすごく正確。靴職人のこだわり。精密で、きめ細かく、とことん仕上がりの良さにこだわる。妥協を許さない仕上がり、他に追従を許さない圧倒的な技術力。彼らだけが持つ技術。特許をとって自分たちの技術を、伝統を守っている。
まさに私たちiwi矯正歯科が目指しているものと同じ。
クラフトマンシップ。
最高の技術と最高の仕上がりを保障する。その卓越した、そぎ落とされたシンプルさは有無を言わさず美しい。究極に追求させたシンプルさを、こだわりを、その形に埋め込む。美しくないわけがない。こだわりが形になっているのだから。職人の魂が形になっているのだから。
それをラヒムは言いたかった。
私は目からうろこが落ちた気がした。斬新なものを追い求めすぎていたようだ。
そこの店にはたまたま、世界的に有名なカメラマンが撮影をしていた。
Stephane de Bourgies
パリの写真家でポートレートを得意としている。ラヒム曰く超有名な人らしい。
その人が写真を撮ってあげるという。
「好きな靴を持って、それから靴を頭の上に乗せて。おっ、カメラを構えたほうがいいね。じゃあ、笑って。はい。もっと笑顔で」
言われるままにポーズをとって。
カッシャ!
 
超恥ずかしいー。周りは大笑いしてるし。
それに比べてラヒムのポーズはこれ。
 
格好いいなぁー
「ちょっと俺と違い過ぎない???どういうことー!!!」
この写真はビルの大きさぐらい引き伸ばすことができるらしい。
ラヒムが悪戯な顔をしながら
「今度ニューヨーク来たときはビルに飾っておくよ」
こんな写真引き伸ばされたら超恥ずかしいよ。
まったくニューヨーカーは口が悪い。
一枚写真あげるよと言われてもらった写真がこれ。
 
有名な女優さんらしい。僕が貰っても宝の持ち腐れ。いったい誰?本当に知識が少なくてすみません。
しかも角折っちゃたし。
 

 

 

100年続くブランド

次に行ったのが
ニューヨークで最も古いもう100年はたっている高級デパート
Bergdorf Goodman
バーグドルフ・グッドマンは、ニューヨークのセレブマダム御用達の高級百貨店で、単に有名人が名を連ねているだけでなく、エグゼクティブな格調高さが特徴と言われている。
ラヒムはその雰囲気を味わって欲しいとしきりに言っていた。
歴史を感じる重厚さと、静寂で、空気がひんやりしていてまるで教会にいるよう。内装もシンプルで華美でなく、格調高い。歴史をまとった格調高さ。外の喧騒から離れ、静寂で、時間がゆっくり流れている。
お客も少なく、店員も美術館に置かれた彫刻のように環境に溶け込んでいる。しつこく寄ってきたりしないで見守っている。
高級感があって緊張感はあるけれど、暖かさがあって見守られている感じ。高級店に行くと店員がぎらぎらした目で見ていたり、上から下まで洋服を見られたり、こいつ安そうな服着てるけど洋服買う気あるのかな?なんて感じがするけれど、ここは違う。まるで友達の家に来たように、ニコニコして、暖かく迎えられている感じがする。
さらにラヒムは奥に進み、Tom Fordの店に入った。
元グッチのデザイナーで、グッチが倒産しかけているのを救ったデザイナーで、2000年には国際最高デザイナーに選ばれた人。007のジェームスボンドが着ていたことでも有名。よく打ち込んだ生地を使い、最高の仕立て技術が随所に活かされて、重厚感と迫力、そして美しさ。計算されつくしたシルエットライン、力強いスタイル。
元イギリス人でジェームスボンド好きのラヒムが好きそうなデザインです。
次に行ったのは、クラッシック家具で有名な
Knoll
iwiで使用するサイドテーブル選びのため。
彼が選んだのはエーロ・サーリネンが1956年にデザインしたクラシックなサイドテーブル。とても美しいシンプルな曲線をしたテーブルです。
 
エーロ・サーリネンは、アメリカ近代デザイン教育の象徴であるクランブルック・アカデミーの教授です。1940年には、近代美術館主催のデザイン・コンペで、1等を獲得し一躍注目を浴びました。その後も数々の家具をデザインしています。
また建築では、エール大学学生寮、ゲートウェイ・アーチ、JFK空港のTWAエアーターミナル、ワシントンのダレス国際空港、ベル電信電話会社研究所、ディア・カンパニー本社ビル、ニューヨーク・マンハッタンのCBS本社ビルなどがあり、数多くの賞を受賞しています。
 
ラヒムはニューヨーク市内を見て回ったとき、やたらとその黒くてまっすぐにそびえたったCBS本社ビルを指差して熱く語っていました。
このビルができるまでは世界中のビルは先端に行くほど階段状に細くなっていた。しかしながらエーロ・サーリネンが世界で始めて四角い箱型のビルを作った。それが世界中に広がっていき、現在のビルの常識になった。
まさしくここから革新が起こったのだと。
 
ラヒムはイノベーション(革新)によってどのように世界が、歴史が変わっていったかを研究していた。
それは歴史を研究することであり、どのようにしてそれが存続してきたかを知ることでもある。つまり斬新的なことは常に世界中で起こっている。しかし世界を変え、歴史を変え残っていくものは稀。ごく一部のものだけが残りそれ以外のものは消えていく。すなわち存続したものは時代を超えて美しい。だから100年前に創造されたものは美しい。最も革新的なデザインを生み出すラヒムが、なぜクラッシックなものばかりを勧めるのかが少し解った気がした。
僕は100年続くブランドを作りたいという希望をまだラヒムに言っていなかった。しかしラヒムがなぜ100年続いているものや歴史的なものばかり見せるのか?
それは100年前にここで革新が行われたからだ。100年前の革新はどのようなものだったのか。どのような衝撃がここで起こりどのように波及しそして残っていったのか。そして今に至るのか?
私たちの今行おうとしている革新はどのように世界を変えて、果たして100年後に存続できるのか?そのためにはどのような努力をして、どのような方向性を見出さなければいけないのか?ラヒムは身をもって僕に教えようとしているのか?
 

 

 

Innovation to the world

その夜、彼はオフィスに招待してくれて一冊の本を僕にくれた。
Catalytic Formations
By Ali Rahim
    
彼はここにまさに革新を起こそうとしている。
そして僕たちの革新は
それは
iwi矯正歯科
そして
i-station


これはわれわれが開発をし、世界特許を申請し、日本から世界に向けて普及していこうとしている矯正用インプラント
Innovation・・・・・・・・・
           to the world・・・・・・・・・




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