いよいよ建設会社との打ち合わせが始まりました。
ここでいかに金額を下げられるかで工事が実現できるかどうかが決まります。
見積書の明細を見ながら金額を落としていきます。
「この部分はなぜこんなに高いの?もっと下げられないの?この材料を違うものに変えたらどうなの?」
しかしながら一向に予算内には達しません。一社あたりの話し合いの時間は2時間です。すでに2時間は越えていますが話し合いは終わりません。他の業者は別の場所で待機しています。30分を超えて、やっと次の業者との話し合いが始まりました。
他の業者でも同じことが・・・・
時間は刻々と過ぎて行き、またしても次の業者を待たせることに。
打ち合わせはすべて終わり、結局どの業者も予算に達しませんでした。
その日の夕食はいつものように和やか雰囲気はなく、暗く沈んだものでした。
「ヤスヒロ。あなたはどこの業者にするか決めなければいけない」
「そんなこと言われてもこの金額では無理だ。中国から輸入することはできないの?何か違う手立てを打たなければ、金額を落とすことは無理だよ」
「確かにその方法だと金額を落とすことができる。しかし工事が2〜3ヶ月伸びるよ。その場合発生する金額を考慮しなければいけないよ」
「それでも安くなるのであれば。その方法も踏まえて、もう一回業者と話し合いをしたい」
「OK。そうしよう。それから、明日は業者にあなたの予算を言うべきだ。最後にもう一回直談判をしてみよう」
次の日急遽もう一度話し合いがもたれることになりました。
「今日来てくれて感謝するよ。中国でパネルを作って輸入する方法だとどれくらい金額を落せる?」
「その場合、製品の精度が問題になると思います。依然やったとき、作り直しになって結局は高くなった経験があります。またそれを調べるには少し時間を貰わないと」
「OKそうしてくれ。この数を半分に減らせばどれくらいになる?またこの部分はあなたの会社だけ高いんだけど、どうしてなの?」
それでもなかなか予算内には届きませんでした。
「ヤスヒロ、いくらだったら出せるのかはっきり言ったほうがいいよ」
とラヒムに言われて予算を述べました。
「はっきり言ってこの金額で精一杯です。もうこれ以上は出すことができません」
「うーん、そこまで落とすことができるかどうかは難しいですね。また今連休で工場が閉まっているので、どれくらいまで落とせるかはっきり解りません」
「OK解った。私が帰って5日後に最終見積もりをあげてくれ」
結局他社との話し合いも同じ結果に終わり、ラヒム来日の間には金額が出ないことになりました。本当なら施工業者が決まって、明日は設計の打ち合わせだったはずなのに。 |