REASON
矯正治療をはじめたい患者様の模型を見ながら悩んでいる私
「うーん・・・この症例難しいな。出歯を引っ込めるのに、歯を抜いたスペースだけじゃあ出歯が治らないな。更に後ろに全部の歯を動かさないとキレイにならないなぁ。
うーん・・・そのためには、
[1] 患者様にはヘッドギヤー(頭に帽子をかぶり、口から出た針金にゴムをかける装置)を1日14時間以上使用してもらわなければいけないな。
[2] 口の中のゴムを毎日24時間使用してもらわないとな。
[3] 治療期間は・・・・・3年以上はかかるな。
かなり患者様に協力してもらわないと治らないな。本当に難しいな~。患者様、がんばってくれるかなぁ。矯正治療は僕だけじゃ治せない、患者様の協力も必要だからなぁ。」
「あなたの治療はすごく難しいから、治療期間は3年以上かかることを覚悟してね。ヘッドギヤーを毎日14時間以上使用して、それと一緒に、口の中のゴムを毎日24時間使用してもらわないと絶対治らないよ。矯正治療は二人三脚だから頑張って一緒に治そうね」と説明。患者様もご納得し、一致団結。
治療が始まると、最初は頑張ってゴムやヘッドギヤーを使ってくれていた患者様も、あまりの治療の長さに疲れ果ててしまい、途中で使用しなくなってしまいました。
私「ねー。最初に約束したじゃない。頑張って使ってくれるって。このままじゃあ治らないよ。一緒にガンバローよ」
患者様「え~。でもヘッドギヤーは癖毛になるし~、朝の髪の手入れが大変だし~、やりたくないよ~」
私「気持ちは分かるけど、装置が外れた後はきっと良いことが待っているよ。一緒にかんばろーよ」
と一生懸命励まし続け、
治療期間は4年を超えて治療終了。
患者様も頑張った甲斐もあって、私の自信作。
同僚に見せると、「すごいね。良く治ったね。これかなり難しかったでしょう。治療うまいね。」と褒められ、ちょっと鼻高々。
前と同じような症例を見て、 「普通の症例だな。歯を抜いてミニスクリューを使えば、ヘッドギヤーはいらないし、1年半前後で治るな。患者様は舌側矯正を希望しているけど、それも舌側矯正治療でまったく問題ないし、きれいに治るな」
こういった感じです。
この違いはいったい何なのでしょうか。
ここ数年で僕がものすごく治療がうまくなったわけではありません。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正が出てきたからなのです。時代はこんなにも変わったのです。
以前、唇側からの矯正治療で難しかった治療が、舌側治療で、簡単に治ってしまいます。
自分にどんどん自信がついて、治療が楽しくてたまらなくなりました。もっともっと難しい症例にチャレンジしたい。今では、ほとんどの治療に歯科矯正用アンカースクリューを使っています。
今、舌側矯正で普通に治している症例は、昔の私では治せないでしょう。仕上がりも今のほうがはるかにきれいです。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正はこのように、とにかくきれいな仕上がりと短い治療期間を目指すことが出来ます。
歯科矯正用アンカースクリューと聞くと「大変そう、痛そう」とお思いでしょうが、ミニスクリュータイプだと、歯茎を切ったりしないでそのまま植えるだけ。
1本30秒くらいで終わってしまいますし、血もほとんど出ないし、腫れたり痛みも殆どありません。
とにかく患者様が楽なのです。
良くない点としては、中にはぐらぐらしてきて、やり返しになることがあります。特に上あごの外側はその確率が高いです。しかし、上あごの内側はその確率が低いのです。そういった意味では、上あごは舌側矯正のほうが都合がいいのです。 そうです。歯科矯正用アンカースクリューが出てきて、上あごは舌側矯正がうまく治るようになったのです。舌側矯正が唇側からの矯正治療を抜いて主流になる可能性は十分あるのです。
今、矯正治療用に使用されている歯科矯正用アンカースクリューには大きく分けて2種類のタイプがあります。ミニスクリュータイプとプレートタイプです。
ミニスクリュータイプは簡単に埋めることが出来て、腫れたりしないので、患者様にとってとても楽です。でも歯と歯の間に打つので動かそうとしたら歯根がぶつかって、歯を抜かない治療には不向きです。
プレートタイプアンカースクリューは強い力を加えることができ、歯根の間に打たないので、抜かない治療に向いています。歯をダイナミックに動かすことが出来ます。でも手術が必要で手術後は腫れます。また感染率が少し高いです。
矯正治療をもっともっと容易なものにしていきたい。
患者様が楽で、治療期間が短く、気軽に矯正治療が受けられる時代に。
どんな難しい症例も治すことが出来る。
それが僕の目指している矯正治療です。僕の理想。
その理想のためにこれからも、もっともっと努力していきます。頑張ります!
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正は本当にすばらしい治療法です。
このことを普及していかなければいけないと思います。
矯正治療をしたいと考えている患者さまに、矯正治療のことはまだわからない患者様に、
・ どこがどのように変わるのか。
・ どんな症例がどの様に治るのか。
・ 矯正をすると口元まで変わる。
ということを。
そう思い、神宮前矯正歯科に実際に通われている患者様にお願いして、治療前後をホームページに載せてもいいか、お願いしました。
世の中にこのすばらしい治療法を普及させたいという思いを強く訴えました。
患者様はそんな僕の思いに共感してくれ、快く承諾してくれました。
本当にありがとうございました。大変感謝しています。
矯正治療をしようと考えていらっしゃるあなたに、
外科手術等が必要で、矯正治療を諦めようと考えているあなたに、
少しでも参考になればと思います。
斉宮康寛
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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